ひきこもり当事者グループ「ひき桜」in横浜 公式ブログ

横浜市内で当事者会や学習会を開催しています。当事者会「ひき桜」「ひき桜ミニ会」、ピアサポート学習会「ひきこもりピアサポートゼミナール」などを手作りで開催しています。

第8回「ひき桜」の感想 by運営メンバー

「ひき桜」は神奈川県でも数少ない、ひきこもりだった人の集まる経験者のみの「当事者」グループである。

今春、有名番組の「たけしのTVタックル」で、ひきこもっている本人に、「支援」をしている業者のスタッフが恫喝、一方的な説得をして、強制的に寮に連れて行き、挙句の果てに無理やり共同生活を行わせるという「引き出し業者」の映像が流れた。


違法性、人権侵害を含む映像を流す報道が問題であるということで、精神科医斎藤環先生、ジャーナリストの池上正樹さんの呼びかけでかつてひきこもっていた5人を含む9人がメディアへと記者会見を行い訴えかけた。


「ひき桜」はそのときに当事者を代表して共同声明文を読み上げた呼びかけ人の一人が代表を務めている


こうした当事者による活動は近年加速の流れにあり、まだひきこもりが社会で認知され始めた2000年当初では医師や支援者の力が強く、おおよそ考えられなかったことである。

僕もちろんもひきこもりであった状態があり、若者支援の複数の団体を利用していた経歴もあり、さらに代表の依頼もあってと現在忙しくてなかなか関われてなくて本当に申し訳ない部分もあるけれども、一応運営メンバーとして携わっている。

 

6月12日に行われたひき桜に半ば利用者、半ば運営者という形で参加してみた。
場所は神奈川県立青少年センターのNPO活動室の2部屋を使って行われている。
あくまでもコンセプトは居場所なので、特段何か皆で作業するとかはしない。
ゆったりと皆が思い思いの時間を過ごしているのが特徴的だ。

PCの作業をしている者もいれば、ボードゲームに興じている者もいる。
さらに楽しく輪になっておしゃべりをする者もいれば、真剣に卓球で汗を流している者もいる。
なんと今回は女子会も開かれた

 

僕は、前半は賑やかにおしゃべり、後半は静かに本を読んでいた。
公共の施設のNPO活動室を利用しているので、他のユースプラザのようにさすがに麻雀、テレビゲームとかはないけれども、書いてあるように限られたものをフル活用してできる限り運営自らを含めて楽しい時間を共有しようという姿勢が垣間見える。
皆が皆、ひきこもっていたという事実があるので、安心して時間を過ごせるのも重要なポイントだ。
特に僕は集団の中で自分だけが違ったことをしていると、大抵僕は孤立感に苛まれていたことが多かったのだが、今回は一人読書していても、そういう感覚は湧き起こらなかった。

前半のトークの中で一つ気になることがあった。
とある方が長いことひきこもっていたのだが、IORI、当事者会等を知っていればもう少し早くひきこもりを脱していたかもと話していた。
彼の部屋にはネットの環境がなく、情報を得る術がなかったという。
日常的に外には出ていたので、幸いこういう場所は親が調べて紹介してくれたのがきっかけで来ることができたという。

 

近年ひきこもりが高齢化している。
現段階では統計ではひきこもっている人の平均年齢が30代半ばであるという。
中には40代、50代のひきこもっている人の中にはインターネットが普及する前の時代からそのまま現在に至るという人が未知数ながらもいるのではないか。
もしそうした層にこういった情報を届けるとしたら、「ひき桜」運営を含めどのようにしていったらよいか

 

まるで四角い窓から灰色のどんよりとした曇り空を見ているような感覚に襲われた。